● 仕事頑張ってるけどなかなか成果が出ない
● 今よりもっと効率的・効果的な仕事がしたい
● 問題解決の本質的な手法について学びたい
今回はそんな方におすすめの本「イシューからはじめよ」をまとめてみたので紹介していきます。
● 「イシュー」とは何か
● 価値のある仕事の要素「イシュー度」と「解の質」について
● イシューからはじめる研究・仕事の方法
目次
「イシューからはじめよ」の内容
はい、どうもシャリンです!
今回は「イシューからはじめよ」という本を読んだので紹介します。
イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-
安宅和人(あたか かずと) 著
英治出版
著書の安宅さんは科学者でありコンサルタント、ビジネスの現場での経験という異色の経歴を持っている方。
東大にて生物化学修士、イェール大学で脳神経科学で博士を取得、そしてマッキンゼーでコンサルタントを経験、その後ヤフーに転職しています。
そのため、会社員としてビジネスをしている方や研究が仕事の方など、幅広い業種の方にもおすすめできる本です。
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本の概要はこんな感じです。
● 仕事や研究ではまずイシュー、つまり「なぜそれをやるのか」「何について答えを出すべきなのか」について考える
● 価値ある仕事について重要な「イシュー度」と「解の質」の高め方について
● バリューのある仕事のアウトプット方法について
自分のやっていることの意味や目的について深く考えることの大切さと、その方法について学ぶことができる本です。
毎日の仕事で
「なぜこんなことをやっているんだろう」
「いくら頑張っても成果が出ない」
といった方から、
「プロジェクトを任されていて、生産性の高い進め方を学びたい」
「これから研究テーマについて組み立てたいけどやり方がわからない」
など目的がはっきりしている方まで多くの方におすすめです。
イシューとは何か
「イシュー」とはこの本では、以下のように説明されています。
① 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
② 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
この2つを満たすものを「イシュー」と呼んでいます。
シンプルに「もっとも答えを出すべき問題」と捉えるといいと思います。
価値ある仕事の要素は「イシュー度」と「解の質」
この本では価値のある仕事(バリューのある仕事)とは「イシュー度」と「解の質」によって決まると考えています。
そして、「イシュー度」と「解の質」についてはこのように説明しています。
「イシュー度」とは「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」、そして「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」–イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
つまり、バリューのある仕事は「イシュー度」と「解の質」が高い仕事ということです。

そしてこの本のタイトルの通り、まず考えるべきは「イシュー度」を高めることだと書かれています。
なぜなら、いくら「解の質」が高くても「イシュー度」が低いとほとんど意味がないからです。
「イシュー度」の低い仕事はどんなにそれに対する「解の質」が高かろうと、受益者(顧客・クライアント・評価者) から見たときの価値はゼロに等しいからだ。イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
特に労働量で「解の質」を上げて左回りでバリューのある仕事に行きつこうとすることをこの本では「犬の道」と呼んでいます。
いくら頑張っても成果が出ない、喜ばれないなどはイシュー度が低い可能性があると思います。
「イシュー度」を高めずにいくら「解の質」を上げてもそれは徒労に終わるだけ。
だからこそ、効果的・効率的な仕事をするためにはまずは「イシュー度」について考えることが大切なのです。
悩まない、悩んでいるヒマがあれば考える
この本では、先ほど説明した「イシュー度」と「解の質」の高めるための考え方を具体的に紹介しています。
そしてまず前提として大切なのは「悩まない、悩んでいるヒマがあれば考える」ことです。
当書ではこんなことが書かれています。
「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること
イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
僕は自分の周りで働く若い人には「悩んでいると気づいたら、すぐに休め。悩んでいる自分を察知できるようになろう」と言っている。イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
「考え方」について説明している本だけに、前提として「悩むこと」と「考えること」をしっかり分けることが必要だと強調しているんだと思います。
「イシュー度」と「解の質」の高め方
ここからは、バリューのある仕事・生産性の高い仕事をするためのアプローチについて紹介していきます。
繰り返しになりますが、バリューのある仕事・生産性の高い仕事をするためには「イシュー度」と「解の質」を高めることが重要です。
まず、生産性の低い進め方と高い進め方の例について、この本から抜粋して紹介していきます。
では、月曜から金曜までの5日間であるテーマについてまとめる必要があるとした場合を想像して下さい。
●「イシュー度」と「解の質」を意識していない、生産性の低い進め方の場合。
月曜……やり方がわからずに途方にくれる
火曜……まだ途方にくれている
水曜……ひとまず役立ちそうな情報・資料をかき集める
木曜……引き続きかき集める
金曜……山のような資料に埋もれ、再び途方にくれる
進んでなさすぎですね笑
まるで自分を見ているかのようです笑
●「イシュー度」と「解の質」を意識し、生産性の高い進め方の場合。
月曜……イシュードリブン(イシューを見極める)
火曜……仮説ドリブン(イシューをもとに実際にほしいデータの仮説を立てる)
水曜・木曜……アウトプットドリブン(実際にデータを取る・分析を進める)
金曜……メッセージドリブン(報告書や論文をまとめる)
この圧倒的な差。笑
書いた通り、イシューからはじめるアプローチではこのようになります。
次にキーワードである「イシュードリブン」、「仮説ドリブン」、「アウトプットドリブン」、「メッセージドリブン」について順を追って説明していきます。
ちなみに「ドリブン」って言葉なんですが、これは「~をもとにして」や「~を起点に」みたいな意味でとらえてもらえたら大丈夫です。「driven」のカタカナ読みで、意味も「drive」の過去分詞系でなんとなくイメージして頂ければと思います。
イシュードリブン:イシューを見極める
「イシューを見極める」とはつまり「何について答えを出す必要があるのか」を見極めることです。
そしてそこから、「そのためには何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析していきます。
では、見極めるべき「よいイシュー」とは何か。当書では以下を紹介しています。
よいイシューの3条件
条件① 本質的な選択肢であること
条件② 深い仮説があること
条件③ 答えを出せること
例えば①については「AなのかBなのか、その結論で大きく意味が変わるものがよい」ということです。
ある商品Zが売れていないとします。この時、問題は「商品に魅力がないこと(A)」なのか「商品はいいけど、認知度が低いこと(B)」なのかを見極めることがよいイシューと言える。こういう問いだと原因がAかBかで取るべき対策が明確になるからです。
当たりまえのようにみえるんですが、本来取るべき対策は「認知度を高めること」なのに、盲目的に「商品が悪い」と決めつけて「商品改良を続ける」といったことをすることも往々にしてあるそうです。
だからこそ、イシューの見極めが大切になってくるということです。
仮説ドリブン: イシュー分析
ここからは、イシューを見極めたところで「解の質」を上げるための事前準備について紹介していきます。
実際にデータを取ったり分析をする前に、イシューに基づいてどういうデータや結果が欲しいのか仮説を立てておく(イシューを分析する)ステップになります。
それが仮説ドリブンです。
ポイントは3つでこんな流れになります。
① イシューを仮説が立てやすく、答えの出やすいサブイシューに分解する
↓
② ストーリーライン(サブイシュー同士関連性を整理すること)を組み立てる
↓
③ 絵コンテ(サブイシューの具体的な答えををイメージ化すること)を作る
仮説ドリブン① サブイシューに分解する
イシューは大きな問いなので、いきなり答えを出すことは難しい。そのため、おおもとのイシューを「答えを出せるサイズ」にまで分解していく。分解したイシューを「サブイシュー」という。イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
分解するのに効果的な手法も多く紹介されていて、例えば「MECE」、「WEHRE・WHAT・HOW」などがあります。
他にも分解のコツについて、様々なやり方を紹介されています。
仮説ドリブン② ストーリーラインを組み立てる
ストーリーラインとは、分解したイシューをもとにストーリーを組み立てることを言います。言葉のとおりですね笑
分解したイシューの構造と、それぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのかを考える。
イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
では具体的にはどういう順番でストーリー立てていくべきなのか。
1 必要な問題意識・前提となる知識の共有
2 カギとなるイシュー、サブイシューの明確化
3 それぞれのサブイシューについての検討結果
4 それらを総合した意味合いの整理
イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
仮説ドリブン③ ストーリーを絵コンテにする
「絵コンテづくり」とは、ストーリーラインをもとに分析イメージ(個々のグラフや図表のイメージ) をデザインしていくことです。
ぼく自身、この本でハッとさせられたのはこの「絵コンテづくり」についてです。
絵コンテづくりは、データがとれてから分析をするのではなく、予めどんなデータがほしいのかについてストーリーラインをもとに整理しておくことです。
具体的にほしいデータのイメージをしておくと、最終的なアウトプットに行きつきやすくなるし、たとえほしいデータではないものが取れたとしても、それをどうするかが明確になります。
絵コンテづくりで大切な心構えは「大胆に思い切って描く」ということだ。 「どんなデータが取れそうか」ではなく、「どんな分析結果がほしいのか」を起点に分析イメージをつくる。ここでも「イシューからはじめる」思想で分析の設計を行うことが大切です。
イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
アウトプットドリブン
ここからは、ストーリーラインを組み立て、絵コンテを作った後、それらをもとに実際にデータを出して分析していく段階を説明していきます。
ポイントは、もっともバリューのあるサブイシューから分析していくことです。
もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行う。ストーリーラインと絵コンテに沿って並ぶサブイシューのなかには、必ず最終的な結論や話の骨格に大きな影響力をもつ部分がある。(中略)重要な部分をはじめに検証しておかないと、描いていたストーリーが根底から崩れた場合に手がつけられなくなる。イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
メッセージドリブン
ここが最後のステップです。
イシューにそったメッセージを相手に効果的に伝える方法について紹介していきます。
ポイントは3つです。
1 意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
2 最終的なメッセージを理解してもらう
3 メッセージに納得して、行動に移してもらう
イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋
ここで、2 最終的なメッセージを理解してもらう上でのコツを一つ紹介します。
それは「エレベーターテスト」というものです。
聞いたことのある方もいらっしゃるかと思います。
「エレベーターテスト」とは、例えばエレベーターで社長や役員など偉い人と遭遇したとして、エレベーターに乗ってから降りるまでの間(20~30秒)で自分のやっていることのプレゼンができるかどうかのテストです。
短時間で複雑なプロジェクトの説明をするには、「何がイシューなのか」を明確にして、その答えを簡潔に伝える必要があります。
そのため、「エレベーターテスト」は自分のやっていることに対してどれだけ理解しているかについて測るいい方法なんです。
よければ、自分の今やっていることで試してみてください。
「イシューからはじめよ」まとめ
最後にもう一度、「イシューからはじめる」バリューのある仕事の流れです。
イシュードリブン(イシューを見極める)
↓
仮説ドリブン(イシューをもとに実際にほしいデータの仮説を立てる)
↓
アウトプットドリブン(実際にデータを取る・分析を進める)
↓
メッセージドリブン(報告書や論文をまとめる)
この記事では、各ドリブンの概要について書きましたが、具体的な手法についてはあまり触れませんでした。
当書では、それぞれの項目について手法や考え方、注意すべき点など、とても詳しく説明しています。
実行に移すには、やっぱり何回もそのやり方を学び、試して、繰り返していくことが大切だと思うので,よかったら是非読んでみて下さい。
最後に、一番大切だと思うメッセージを。
「イシューが大切なことはわかったが、どうやって自分の見ているものがイシューかそうでないのかがわかるのか、今ひとつ腑に落ちない」 「内容はそのとおりだとは思うが、腹に落ちた、真に理解した、という感覚になれない」 という感想もある。そう言う人には、僕は次のように伝えている。 「僕は今、自分にできる限りの深いレベルまで、知的生産におけるシンプルな本質を伝えた。あとは、あなたが自分で経験する以外の方法はないはずだ」 イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」-より抜粋